HOUSE-N|続編

先日、HOUSE-Nに家族で宿泊してきました。約6年振りのHOUSE-N。素晴らしい住みこなしに感激しました。コストの関係もあり、多くの余白が残ったHOUSE-Nですが、さまざまな変化が見受けられました。

(HOUSE-Nの竣工写真は こちら をご覧下さい)

増設した壁による子ども室、ダイニングテーブルを分解しカスタマイズしたキッチンカウンター、庭のウッドデッキ、その他多くのDIYなどによる物理的変化。米杉外壁の色味、合板床の色味、傷や汚れ、壁や柱に描かれた多くの落書きなどによる経年変化。玄関土間は書斎からBMXやアウトドアスペースに、特別の用途がなかったロフトは子どもの寝室に、リビングの一部はリモートワークスペースに、ダイニングの一部は作業スペースになるなどの使用用途の変化。そのどれもが、決して繊細なものではないのですが、ネガティブな感覚は全くなく、味のあるポジティブなものでした。「住宅は生活感などの必然性を許容すべきである」「住宅は変化するものである」という前提をもって提唱している〝許せる暮らし〟を体現している好例だと感じました。

(〝許せる暮らし〟については こちら をご覧下さい)

そして、改めて痛感させられたのは、住宅は建築のハードとして解決できることは実は少なく、生活のソフト、つまりは、住まい方に依存する部分が大きいということでした。建築でルールを作り、そのルールに基づいて暮らすよりも、建築のルールは曖昧にしておき、住み手が状況に合わせ住まい方のルールを作りながら変化させていくことの方が本質的だと感じました。HOUSE-Nのご家族は、お子さんも含めて、発想が自由で柔軟です。より豊かに、より伸びやかに、より暮らしやすくするための工夫やアイディアに溢れた生活を送っていることが、設計者として喜ばしく、また、大変勉強になりました。

この暮らし方やさまざまな変化を記録に残すことは、自分のコンセプトを伝える上で必要なことだと感じたため、現状を竣工写真と同じアングルで撮影する〝竣工後写真〟を撮影することを決めました。竣工写真撮影と同じ時期の5月頃に撮影を予定しています。

HOUSE-Nの今後の変化や進化を楽しみにしながら、これからも末永くお付き合いを続けさせて頂きたいと思います。