タイトルを見て「何の話?」と思うかもしれませんが住宅の話です。もっというと〝住宅の前提を間違えてませんか?〟という話です。
公園で子どもと遊ぶとき、どんな服装で遊びますか?滑り台を滑ったり、砂遊びをしたり、サッカーをしたり、ということが予測されますから、デニムだったりカジュアルな服装を選ぶと思います。それは公園で遊ぶということからすると必然的な選択です。もし、スーツを選んだとしたら、汚れや傷がつくことを恐れ、全力で遊ぶことができません。前提に合った服装ではないからです。
(竣工して2年目のHOUSE-Nの風景)
世の多くの住宅は〝スーツ姿で子どもと公園で遊ぶ〟感覚のものが多いと感じています。住宅は生活をする場です。特にお子さんがいる家庭では、落書きされることも、床が食べこぼしで汚れることも、オモチャを投げて床がへこむことも、全て前提条件だと思っています。でも、その前提を無視した〝綺麗過ぎる〟住宅を作った結果、それらのことが起きると悲鳴をあげるような事態になってしまいます。
そうなることがわかっているのなら、その前提に合った住宅にしておけばよいという考えです。住宅での暮らしは実は〝荒いもの〟というのが持論です。その前提に合う、ラフである種の荒さがある住宅の方が伸びやかに健やかに子どもも大人も暮らせるのではないのでしょうか。