5周年|大きな目標

先月19日で事務所を設立して5年が経ちました。

感謝すべきことにこの5年間に10棟の住宅設計に携わらせて頂きました。
その10棟を通して「自身の住宅論は1つの思想として成り立つ」という確信に加え「大きな目標」を抱くようになりました。

私は、住宅での生活は〝荒い〟ものだと捉えています。人が長期間生活をするわけですから、生活感は出て当たり前ですし、キズがつくことも汚れがつくこともモノが増えることも、子供が落書きをすることさへも、当たり前のことだと考えています。その前提がありながら、それら許容しないベースを設計してしまうことに矛盾や違和感を覚えます。誤解を恐れずに言えば世の中の住宅は〝綺麗すぎる〟と感じるのです。

ファッションに例えるならば〝スーツでアウトドアしている〟ような感覚に似ています。作業することや汚れることが前提のアウトドアにスーツは不向きです。これはシチュエーションの問題であってスーツを着ること自体を否定しているわけではありません。これが結婚式やビジネスシーンであればスーツが最適です。アウトドアウェアやデニムは逆に不向きです。

話を住宅に戻しますが、私は、綺麗な住宅の設計もできますし、実際に設計もしてきました。その造り方自体を否定するつもりもありませんし、否定することは難しいと考えています。住宅というベースやそこでのシュチュエーションをどう捉えるかの価値観の問題だと思うからです。

ただ、1つの方向性として〝荒く住む〟〝綺麗に住まない〟等という考えや選択肢があって良いと思うのです。「我が家は綺麗に住む派」「我が家は荒く住む派」そんな会話があっても良いのではないかと。

そのような自身の住宅論が〝らしさ〟として現れ、私の作品を見て頂いたときに「これは加藤直樹らしい」「これはN.A.Oらしい」等と世の中に認知されるようになりたい。その〝らしさ〟を名前や通称が生まれるレベルまで到達させ『新たな住宅の概念を創り出したい』。それが私の大きな目標です。

「何言ってるの?」「無理でしょ」「無茶でしょ」等という声が聞こえてきそうですが、私自身も現状でそのようレベルに達していないことも、無茶を言っていることも理解しています。しかし、有言しなければ、実行はされない。夢は叶わない。そう考えています。

10年、20年、一生掛かるかもしれない。そんな果てない目標を抱きながら、これからも初心と感謝の気持ちを忘れず、謙虚に素直に住宅設計、建築設計に向き合っていきたいと思います。