「暮らしのベースである住宅が豊かになれば、生活が豊かになり、人生が豊かになる」
私は、その可能性を信じ、住宅設計に拘っています。
そんな私ですが、かれこれ諸事情があり、まだ自邸はありません。極々普通の賃貸アパートに家族4人で暮らしています。「服がダサいのにアクセサリーに拘る」ような感覚を嫌がり、「新築したらね」という半ばギャグのようになっている魔法の逃げ言葉を連呼して、家具や雑貨については、割り切りをつけ、特別拘らないようにしていました。
そんなある日、突然、その生活に疑問と嫌気が生じました。暮らしの豊かさを提案する立場の人間が豊かさをおざなりにして、向上させようと努力もしないのは如何なものだろうと。そして、単純に豊かでない空間で過ごしている時間にストレスを感じ始めました。
そこで、それ程多くはないですが、予算を組み、現状で豊かでないと感じている部分やストレスになる部分を改善するような家具を購入し、「新築したらね」と魔法の逃げ言葉でセーブしてきた雑貨を購入し、生活に少しだけ豊かさを加えてみました。
謙遜の意味で言うわけではないですが、現状の状態は、それ程、大した状態ではありません。行ったのは、ほんの些細な操作です。それでも、気持ちが少し豊かになり、時間ができれば映画を観てみたり、読書をしてみたり、早起きをしてランニングをしてみたりと、色々な活力や行動力が出てきました。このアパートも少し好きになりました。凄く単純なのですが、本当の話です。
我が家は、賃貸アパートをベースに些細な操作をしただけです。このベースの部分が自分達らしい住宅であり、お気に入りの家具や雑貨達に囲まれていたとしたら、その生活での気持ちの豊かさは、計り知れません。
自身の経験を持って、住宅に抱いている可能性は間違いではないと確信できる出来事でした。