特別な普通の住宅

〝普通〟とは何でしょう。辞書で引くと「いつ、どこにでもあるような、ありふれたもの」と出てきます。

では、〝普通の住宅〟とは何でしょう。「万人が受け入れられる、ありふれた住宅」という所かと思います。

しかし、その意味合いに疑問を感じてしまいます。

家族構成も育ってきた環境も生活習慣も趣味嗜好も千差万別の中で〝普通〟は、家族それぞれに存在するものだと思うからです。

家族全員が一緒の部屋に寝ることが〝普通〟の家族もいる。
入浴後、家族同士が全裸で歩くのが〝普通〟の家族もいる。
家族全員がバラバラに食事をとることが〝普通〟の家族もいる。
全室に鍵が付けられ、テレビが設置されていることが〝普通〟の家族もいる。

それらを統一し、万人が受け入れられるような、世の言う〝普通の住宅〟の方がよっぽど〝普通〟ではない不自然なものなのではないのでしょうか。

10000家族いたら10000の〝普通〟が存在するわけですから、10000通りの〝普通〟の回答が出る方が自然だと思うわけです。

その家族にとっての〝普通〟を探求していくと出来上がるカタチ。10000家族いて9999家族が〝普通じゃない〟と答えても、住んでいる1家族が〝普通〟だと思えるカタチ。

〝普通〟を疑い、〝普通〟を探求することで、その家族らしい〝特別な普通の住宅〟が創り上げられると考えています。

それらを具現化するお手伝いを自身の経験や職能を生かして提案していきたいものです。