HOUSE-Y|図面を描く意味

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HOUSE-Yの実施設計が終わりました。

実施図面は合計で51枚描き上げました。「そんなに描く必要ある?」と言う人も「それぐらい描いて当然でしょ」と言う人もいるかと思います。

図面を描く意味は3つあります。1つ目は「設計意図を伝え、工事を正確に行う為」です。当たり前ですね。ちなみにハウスメーカーや建売住宅の図面枚数は5~10枚程です。それは〝標準仕様〟と言う設定をする事で事細かに設計意図を伝えなくともそれに則り、セミオートで現場が進んでくれる為、枚数を少なくすることが可能になります。ある程度は現場にお任せと言う感じです。対して、設計事務所には〝標準仕様〟と言うものがありません。フルオーダーメイドなわけです。予算や要望内容に合わせ、構造・空間構成・素材・設備等を一からすべて考え、創り上げます。決まり切ったものもなければ、現場判断に任せることもありません。その全ての設計意図を現場に伝える為には多くの図面を描く必要性が必然的に出ます。

2つ目は「工事見積を正確に行う為」です。先程の内容と重複しますが、設計事務所には〝標準仕様〟がありません。ということは〝標準坪単価〟も存在しません。30坪の建物なので30坪×坪50万=1800万という単純計算ではいきません。見積をする施工業者としては図面に建物の仕様について全て描き込まれていないと正確な見積が出来ないのです。裏を返せば図面に描いていない事は現場にも見積にも反映されず〝抜け〟となってしまいます。その〝抜け〟は現場が始まってから気付けば金額を見ていないものになってしまうので追加工事として工事金が発生します。それが起きると一番困ってしまうのはクライアントです。予算内に納まっていたと思っていたものが実は納まっておらず、予算オーバーをしてしまうということになればトラブルに繋がります。その可能性を限り無く0に近付ける為に多くの図面を描くのです。

3つ目は「建築のクオリティーを上げる検討をする為」です。以前勤めていた設計事務所の所長に「描かないと解らない事が多くある。だから多くの図面を描け」と良く言われました。その通りだと思います。プロと言えど、ある程度の空間構成や納まりを想像できても全てを想像できるわけではありません。図面を描いていく中で〝気付き〟があり、新たな課題が見えてくることは往々にしてあります。その〝気付き〟が多い程、建築のクオリティーが上がり、より質の高い建築になるわけです。

等々と試行錯誤しながら描き上げた図面は施工業者に渡し、現在、工事見積中です。予算内に納まることを切に願いながら見積UPを待とうと思います。